三日目
10/5 三日目が来た。
昨夜のとんさんは、24時半に寝てくれた。有り難いことである。
朝5 時前にふにふに泣いたようだが、またしても起きられず、気付いたときにはツマが授乳を終えたところだった。(すみません)
すぐ隣で寝てるのに、どうして気付けないのだろうか……。XY染色体やホルモンの違いのせいにしたくはないが、この歯痒さ、いかんともしがたい。
このところ大人たちの早起きに引っ張られて、小学生ふたりの起床時間も早まってきた気がする。良いことだが、その分早く寝て欲しいところだ。
さて今日は、とんさんの予防接種の日だ。
DPT-IPVいわゆる四種混合である。あーさんやひーさんの頃は三種混合だったのに、増えてる。
Hibや肺炎球菌も定期接種になったし、10月からはB型肝炎も定期接種になった。
正直な感覚として、増えすぎでない!? と思う。
母子手帳なんかに載っている予防接種スケジュールを見ると、その過密ぶりがよく分かる。
実は、長男のひーさん、1歳半の頃にADEM(急性散在性脳脊髄炎)になり長期入院した経験がある。
ちょうど発症前にポリオ(生ワクチン・2回目)を接種したこともあり、入院中に検査も受けた。結果は「因果関係は見受けられない」との事だったが、それ以降は予防接種に不安を感じずにいることは難しかった。今日でもそれは変わらない。
上の子のときは受けなかったのに、下の子にだけ受けさせるのだろうか、という葛藤も感じずにはいられない。
予防接種は個人免疫、集団免疫、の観点がある。受けるか受けないか、決めるのは親だが、その効能や副作用を被るのは親ではなく、言葉も話せない我が子だ。
親が各々の信念に基づいた判断をするしかないが、その決定が完全に個人の問題とされず、集団や地域社会全体での免疫と切り離せない性質を持って論じられるところに難しさがあると感じる。残念ながら明確な答えはなさそうだ。
言葉による意思疎通が取れない年齢で、ひーさんは突然ADEMになった。
下半身が動かなくなり、立ち上がれなくなった。
入院時、医師から「半身麻痺などの重篤な後遺症が出る可能性がある」と説明を受けて、頭が真っ白になった。耳が遠くなって手が震えたのを覚えている。
入院して点滴を繋ぎ、脳の炎症を抑えるためにステロイドを体内に注入した。
何度も何度も睡眠薬を飲んで、脳のMRIを撮った。脳波も取った。
しかし退院後になっても、脳のMRI画像から炎症だという所見は消えなかった。
薬で眠らされた小さな体がMRIの筐体に飲み込まれていくのを何度も見送った。
あのとき感じた数え切れない不安と、行き所の無い感情は、決して忘れることができない。
「子どもに予防接種を受けさせないのは虐待だ」という論調を目にする度、ひーさんの入院中に感じた、身体の芯が震えるような幾つもの不安がまざまざと思い出される。
そして、上の意見に賛成も反対もできないまま、心のどこかが痛む。この痛みは、説明して分かってもらえる類のものではないのだろうと思う。ある意味で、ひーさんのADEMはとても貴重な経験を親である自分に与えてくれたのだ。
さて今日は、とんさんの予防接種の日である。大事な大事な我が子を腕に抱えて、病院に連れてゆく。
<おまけ>
あーさん(小学3年)が好きな遊び、インテリアデザイン。
ツッコミどころ満載だが、非常に秩序立っていて彼女の性格がよく現れている。
この家の住人たちは、どんな生活をしているのか気になるところだ。
露天風呂! 青空トイレ! なんて開放的なんです!?
(所要時間:内容が内容だけに約50分)